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ストレスで免疫が下がる理由|腸内環境から体の抵抗力を守る

ストレスと免疫の関係——なぜ体の抵抗力が落ちるのか

「忙しい時期が続くと決まって体調を崩す」「大事なプレゼンの前に風邪をひきやすい」——そのような経験をお持ちの方は少なくないのではないでしょうか。これは単なる気のせいではなく、ストレスが免疫機能に影響を与えるメカニズムが関与していると考えられています。

人体はストレスを感じると「闘争・逃走反応」を起こし、アドレナリンやコルチゾールなどのストレスホルモンを分泌します。短期的なストレス反応は体を守るために必要なものですが、慢性的にストレスホルモンが高い状態が続くと、免疫システムにさまざまな影響を与えるとされています。

コルチゾールが免疫を抑制するしくみ

ストレス時に大量分泌されるコルチゾール(副腎皮質ホルモン)は、本来、炎症を抑えたり血糖値を上昇させたりすることで緊急時の体の対応をサポートする働きを持ちます。しかし慢性的に高い状態が続くと、免疫細胞の機能を抑制する方向に働くとされています。

影響を受ける免疫細胞・機能変化の内容
NK細胞(ナチュラルキラー細胞)活性が低下し、ウイルス感染細胞への対応が弱まるとされる
T細胞・B細胞増殖・分化が抑制され、抗体産生が低下する可能性がある
炎症性サイトカイン一時的な抑制後、慢性ストレスでは逆に過剰になりやすいとされる
IgA(分泌型免疫グロブリン)腸や粘膜の局所免疫が低下するとされる

特に注目したいのが分泌型IgA(sIgA)です。sIgAは腸や気道などの粘膜に存在し、病原体が体内に侵入するのを防ぐ「粘膜免疫」の中心的な役割を担うとされています。慢性ストレスによってsIgAが低下すると、粘膜バリアが弱まり、感染症にかかりやすくなる可能性があると考えられています。

腸内フローラと免疫——全身の免疫の70%は腸にある

免疫とストレスの関係を考えるうえで、腸内環境の視点は欠かせません。全身の免疫細胞の約70%が腸に集中していると言われており、腸は体最大の免疫器官とも呼ばれています。

腸粘膜にはパイエル板と呼ばれるリンパ組織が存在し、腸内細菌や外来抗原と常に相互作用しながら免疫応答を調節しています。善玉菌が多い状態では制御性T細胞(Treg)が活性化され、過剰な免疫反応(アレルギーや自己免疫疾患につながる)を抑えるとともに、病原体への適切な免疫応答が維持されると考えられています。

一方、ストレスによって腸内フローラのバランスが崩れると(善玉菌の減少・悪玉菌の増加)、この腸管免疫の調整機能も乱れやすくなるとされています。腸内環境の乱れが免疫低下を招き、そのことがさらなる体調不良・ストレスを呼ぶ、という悪循環が生じやすい状態になります。

ストレスによる免疫低下が花粉症・アレルギーに与える影響

ストレス下での免疫低下は、単純に「風邪をひきやすくなる」だけではありません。免疫システムのバランスが崩れると、アレルギー反応が強まりやすくなる可能性もあるとされています。

免疫には病原体を攻撃する「Th1系反応」と、アレルギーに関与する「Th2系反応」があり、この2つのバランスが取れていることが重要とされています。慢性ストレスやコルチゾールの過剰分泌によってTh1系が抑制されると、相対的にTh2系が優位になり、アレルギー反応が過剰になりやすくなると考えられています。

「花粉症のシーズンに仕事が忙しいと症状が悪化する」と感じる方は、このストレスによるTh1/Th2バランスの乱れが関与している可能性もあります。腸内環境を整えてTh1/Th2のバランスを保つことが、アレルギー症状の管理においても関係すると考えられています。

腸内環境から免疫を守るための具体的な習慣

ストレスを完全にゼロにすることは難しくても、腸内環境を整えることで免疫機能の低下をある程度カバーできると考えられています。以下の習慣を日常に取り入れることを検討してみてください。

プロバイオティクス+プレバイオティクスのダブルケア

善玉菌(プロバイオティクス)を含む発酵食品(ヨーグルト・納豆・味噌・キムチ)と、善玉菌のエサとなる食物繊維・オリゴ糖(プレバイオティクス)を組み合わせて摂ることを「シンバイオティクス」と呼びます。善玉菌と腸内フローラを育てる食品を同時に摂ることが、腸管免疫の維持に関わると考えられています。

フラクトオリゴ糖でビフィズス菌を増やす

フラクトオリゴ糖はビフィズス菌などの善玉菌を選択的に増殖させるとされています。ビフィズス菌が増えると短鎖脂肪酸の産生が増え、腸のバリア機能を強化し免疫調整に関わる可能性があります。玉ねぎ・バナナ・大豆・ゴボウなどに豊富に含まれています。

十分な睡眠で免疫細胞を回復させる

睡眠中は成長ホルモンが分泌され、免疫細胞の修復・産生が行われるとされています。睡眠不足はコルチゾール分泌を増加させ、腸内フローラを乱す一因にもなると考えられています。7時間以上の質の良い睡眠を確保することが、ストレス下での免疫維持においても重要です。

適度な運動で免疫バランスを整える

ウォーキングやヨガなどの中程度の有酸素運動は、NK細胞の活性を高め、免疫機能のバランスを整えるのに関わるとされています。ただし過度な激しい運動はかえって免疫を抑制する可能性もあるため、「少し汗ばむ程度」の適度な運動を継続することが大切とされています。

抗酸化食品でストレスによる酸化ダメージを軽減

ストレス状態では体内の活性酸素が増加し、免疫細胞へのダメージが増えるとされています。ビタミンC(柑橘類・ブロッコリー)・ビタミンE(ナッツ・アボカド)・ポリフェノール(緑茶・ブルーベリー)などの抗酸化成分を含む食品を意識的に摂ることが、ストレス下での免疫保護に役立つと考えられています。

よくあるご質問

ストレスを感じると風邪をひきやすくなるのは本当ですか?
研究によって、慢性的なストレス状態にある人は上気道感染症(風邪など)にかかりやすいという報告があります。コルチゾールによる免疫抑制や、腸管免疫・粘膜免疫(sIgA)の低下が関与していると考えられています。ストレス管理と腸内環境の維持を組み合わせることが、日常的な体調管理において関係すると言われています。
腸内環境を整えると免疫が上がりますか?
腸内フローラのバランスを整えることが腸管免疫の調整機能の維持に関わるとされており、善玉菌の増加・多様な腸内細菌叢の形成が免疫応答の適切なバランス維持に関係すると考えられています。ただし免疫機能は非常に複雑な系であり、腸活単独で「免疫が上がる」と断言できるものではなく、睡眠・運動・ストレス管理も含めた総合的な生活習慣の改善が大切です。
花粉症がひどい年はストレスが多かった気がします。関係はありますか?
ストレスによってTh1/Th2免疫バランスが乱れ、アレルギー反応に関わるTh2系が過剰になりやすくなる可能性が指摘されています。腸内環境の乱れもTh1/Th2バランスに影響するとされており、ストレス管理と腸内環境を整えることが花粉症などのアレルギー症状の管理に関わると考えられています。個人差が大きいため、症状がつらい場合は医師にご相談ください。

腸内環境から体の抵抗力を支えるために